「ハガキ職人」とはラジオ番組でよく聞く言葉です。
今回はそのハガキ職人について書いていきたいと思います。
「ハガキ職人」とは?
ハガキ職人(ハガキしょくにん)とは、特定のラジオ番組や雑誌に優秀なネタハガキやイラスト入りのハガキを数多く投稿し、その他の番組リスナーや雑誌読者からもその名が広く知られている常連投稿者の事を指す用語である。
Wikipediaにはこのようにハガキ職人について書かれています。
付け加えるとすれば、「ふつおた」でよく採用されているリスナーは”常連リスナー”で、ネタコーナーでよく読まれているリスナーを”ハガキ職人”と呼んでいる人が多いと思います。
昼の番組でよく読まれるリスナーは常連リスナー、夜の番組でよく読まれるリスナーはハガキ職人。
そういう呼び方に変化することも時にはあります。
ハガキ職人の定義は誰かが決めたものではなく、なんとな~く出来上がったものです。
今後もハガキ職人と呼ぶ定義は変わっていくのかもしれません。
深夜の人気番組である爆笑問題カーボーイなどでは「最近の人はハガキじゃなくてメールで送ってくるから、メール職人の方が良いんじゃね?」ということで「メール職人」という呼び方も一般化しつつあります。
しかし、もはやゲタは誰も履いていないのに”下駄箱”というのと同じで、メールが当たり前の今でもハガキ職人と呼ぶ人が多いです。
「ハガキ職人」の歴史について。なぜカタカナなのか?
今やラジオ投稿では葉書ではなくメールに取って代わっている時代、なぜハガキなのでしょうか?
ちなみにWikipediaには・・・
ハガキ職人という言葉は1980年代の『ビートたけしのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)で、常連投稿者だった道上ゆきえ(ペンネーム)が自称した事から同番組内で使われ始め、『とんねるずの二酸化マンガンクラブ』(文化放送)や『とんねるずのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)もそれを模倣した。
このように書かれています。
1980年代からある言葉なんですね!
このWikipediaに付け加えるとすれば、ハガキ職人という言葉が爆発的に広まったのは2000年前後だというのが私の記憶です。
その当時はインターネットが各家庭でも当たり前になってきて、携帯電話を中学生や高校生が持つようになった時代です。
しかし、まだメールはそこまで一般的ではなく、メールアドレスが無いラジオ番組というのも数多く存在しました。
そのため、ハガキや封書での投稿がまだまだ全盛期だったわけです。
それでもインターネット上では個人サイトや掲示板(2ちゃんねるなど)でリスナー同士の交流が行われていました。
そこで、ハガキで投稿する人=ハガキ職人、という言葉が爆発的に広まった印象があります。
当時は「葉書職人」や「はがき職人」とも書かれていましたが、「葉書職人」は漢字で面倒だ、「はがき職人」はコナミが商標登録しちゃってる、という理由でカタカナの「ハガキ職人」が一般的になったと記憶しています。
まだまだ漢字の予測変換もそこまで発達しておらず、カタカナのハガキ職人はすぐに変換できて楽だというのでみんなが使うようになりました。
2000年前後にメール文化も広まって誰でもラジオへのネタ投稿ができるようになると、ハガキ職人という言葉はさらに認知度を高めていきました。
ちなみに、メールでの投稿が当たり前になってきたときに「ペンネーム」から「ラジオネーム」と呼び方も変化していきましたね。
「メール職人」は一般化しなかったのに、「ラジオネーム」の方はすんなり一般化していったというのは不思議です。
ラジオは伝達手段によっていろいろと進化してきた歴史があるのが面白いです!
ハガキ職人になるにはどうすれば良いのか?
ハガキ職人になるには、とにかくラジオ番組にメールを送りまくって、たくさん読まれれば良いです!
ではどうすれば読まれるのか?
それについては別記事で「ラジオ番組で読まれるコツ」を書いているので、そちらを読んでいただきたいです。
それを読んで、実際にメールを送れば必ず番組内で採用されるでしょう!
ちなみに私はラジオでハガキが採用されるまで5ヶ月くらいかかりました。
お金もない中学生だったので、毎週1枚だけハガキを買って投稿していました。
1週間に1通だけ、しかも1枚のハガキに見やすければ何個もネタを書いて良いというのを知らなかったので、1枚のハガキに渾身の1ネタだけを書いて・・・。
だから初めて採用された時は深夜にガッツポーズをしました、30分くらいずっと!
ずっとガッツポーズ、さらにそのときの記録を残すため木のベッドに「一」とペンで印をつけました。
いわゆる「正の字」の一画目で、それからどんどん採用されることを目標にしました。
それからは数週間に1回ペースで採用されるようになっていって、最終的には2週連続で採用されるくらいになりました。
そこまでいくとベッドに印をつけるのはベッドに悪い気がしてきたので、普通にノートに正の字を書くようになっていました。
ラジオ投稿を続けたまま高校生になっていくと家にパソコンがきてインターネットが開通したので、パソコンからメールを送るようになります。
1週間に1ネタしか送っていないときとは打って変わって、いろんな番組にめちゃくちゃ送りまくりました。
高校の授業中に思いついたネタをノートの端っこに書いて、帰宅してからそのメモを元にネタ化してメールを送りまくる毎日。
1週間で40採用とかまで行った時期もありました!
当時はケータイ電話も持てるようになりましたが、文字を打つスピードとかを考えるとパソコンからのメールが一番便利でした。
それから私はずっとケータイやスマホからではなく、パソコンのメールでネタを送るのがクセです。
ケータイとかスマホの小さい画面だと文章全体が見にくくて、長文メールとかを送るときになんかイヤだったんですよね。
パソコンのメールだと画面が大きいので全体の文章を把握しやすくて自分のメールを推敲しやすかったです。
自分の過去を書きましたが、私としては中学生時代にしっかりと”ハガキ職人”をやって、1ネタ1ネタを大事にする感覚をしっかり養えたことが良かったのかな?と今では思います。
メール投稿になっても1ネタを大事にしたことでたくさん採用されたと自負です!
メール投稿が始まった時代って、ネット上ではけっこう「ネタが雑になった」とかいう意見が多かったんですよね。
伊集院さんのラジオがメールフォームからの投稿もOKになったときもけっこうそういう意見が多かったですし。
まぁ、なんといいますか「ハガキ職人」という言葉が未だに残っているのは、メール投稿になっても1ネタに情熱をかけるリスナーが多いからなんじゃないかな?と思います!
ハガキ職人から放送作家にはどうなればいいのか?
中学生のときからハガキ職人をやってきた私。
社会人になってサラリーマン生活をしていた時期もありましたが、そのときも投稿は細々と行っていました。
するとどうでしょう、やっぱり「ハガキ職人から放送作家への道」に未練が残っていることに気づくわけです。
サラリーマンとして働きながらも放送作家になりたかったなぁー、と。
そうなったら脱サラですよ!脱サラして放送作家になるわけですよ!
超有名で優秀なハガキ職人さんは、投稿している番組のスタッフさんや芸人さんにスカウトされて放送作家になることもあるらしいです。
しかし私はそんなスカウトもなかったし、まず東京とはかけ離れた地方に住んでいたのでスタッフさんとかと出会うチャンスもほとんどなく、どうすりゃ放送作家になれるんだ?と思っていました。
そんなときにネット検索で見つけたのが「養成所」です。
お笑い事務所の養成所!吉本興業とかで有名なお笑い事務所の養成所!
実はそこは芸人だけを募集しているのではなく、放送作家も募集しているんです。
私はとある大手お笑い事務所の放送作家養成コースを受講することにしました。
受講料は半年の授業で数十万・・・放送作家には金でなるしかない!
しかし金だけではなれません、プロの放送作家には!その半年間で優秀だった一部の人しか事務所お抱えの放送作家にはなれないんです。
数十万円も払ったのに放送作家になれないことがあるんです、恐ろしい養成所ビジネス!
「数十万円をドブに捨てることになるかもしれないのか・・・」と危機感を持ちながら半年間、毎週1回の放送作家コースに通いました。
同期には何人かハガキ職人の人がいて「ラジオネーム〇〇〇〇です・・・あっ、知ってますか!?僕もあなたのラジオネーム知ってます!めっちゃ有名じゃないですか!」なんていう出会いもあり、ハガキ職人同士切磋琢磨しました。
やはりハガキ職人出身の人はちょっとレベルが違うな、と実感しました。
単純なアイディアもそうですが、企画プレゼンでの見せ方など、ハガキ職人時代の経験が実はこんなところに生きてくるのか!という発見がいっぱいありました。
結果的には半数以上が落選する中、私は見事に放送作家として合格をいただきました!
ハガキ職人仲間ももちろん合格!こうして憧れだった放送作家なることができました!
それからプロの放送作家としていろんな現場にいきました。
そこでも元・ハガキ職人の方々にいっぱい出会いました!みなさん、なんだかんだで放送作家なってるじゃん!
しかも話を聞くとスカウトされて放送作家になった人はほとんどおらず、養成所経由でなった人と、制作会社に企画を持ち込んでそこからどうにかして放送作家になった人ばかりでした。
スカウトされて放送作家になる人なんてごくごく一部ってことです!
まとめ
ハガキ職人の歴史から、なり方までを書いてきました。
ハガキ職人をやっていく中で「文章はこうやって書けばいい」とかを考えていくと、それがそのまま放送作家になるときに活きてきます!
放送作家を目指す人にとって、ハガキ職人での活動は無駄ではないと思います!
あと、放送作家として番組関わったときに、昔投稿していたパーソナリティさんと現場で出会って「ラジオネーム〇〇〇〇です、当時はお世話になりました」と挨拶できるときが感無量です!
そこでラジオネームを覚えてくれていたときの感動・・・!
その瞬間は最高ですよ!